『オケラの七つ芸』という言葉があります。

『手のひらを太陽に』やなせたかし作詞・いずみたく作曲のなかに、
♪ミミズだって オケラだって アメンボだって
というフレーズが有ります。

オケラって何だろう?

一文無しになる様を『オケラ』と言ったりしますが、
♪生きているんだ と歌われているからには生き物ですよね。

オケラは俗称。漢字で書くと螻蛄

オケラは正式にはケラというコオロギの近縁の昆虫です。
(バッタ目(直翅目)・キリギリス亜目・コオロギ上科・ケラ科)
水田の代掻きの際に水に浮かんでいたり、秋口には街灯に集っていることもあります。

子供の頃、オケラといえばそればそれはカッコいい虫でした。

後ろ足はバッタでジャンプできます。
前足はモグラのようになっていて、穴を掘れます。
翅が有って飛べます。
走るのも結構早いです。
ビロードのような細かい毛に覆われていて泳げます(というより浮いて水面を走ります)。
戦隊モノのスーパーロボットを地で行くような昆虫です。

昆虫版モグラ。

ケラは地面に穴を掘って、地中のトンネルで生活しています。
哺乳類のモグラと、似たような場所で似たような生活をしています。
このような、異なった生物のグループが、同様の生活環境に生息することで同じような身体的特徴を持った進化をすることを収斂進化といいます。

その昔、ケラの鳴き声はミミズの鳴き声だと思われていました。

ケラは鳴く事もできます。
鳴き声は初夏によく聴くことができます、巣穴を共鳴室として使い、地中からかなり大きな「ジー」「ビー」といった連続音を鳴らします。地面の下から聞こえるので、昔は「ミミズの鳴き声」と信じられていました。

地域によっては、食用や民間療法の薬などに使われていました。
しかしあまりメジャーではなく、江戸城大奥での愛玩用に飼育されていた野鳥の飼料として利用された程度で、一般には農作物の根などを食べる害虫の扱いでした。

飛んで、走って、跳ねて、鳴いて、泳いで、穴掘りもできる。
多芸ですが、目立たない存在。
どれも一流ではない器用貧乏なさまを表して、
『オケラの七つ芸』なんて言葉ができたそうですよ。

飼育して観察するのも面白そうですね。

代謝量が多い為、水分不足、飢餓に大変弱く水がないと一晩程度で死んでしまいます。
飼育の際は、湿らせたミズゴケを土替わりに厚く敷き詰め、腐りにくいエサを与えます。
甲虫の飼育用に売られている昆虫ゼリーなんかもよく食べるそうですよ。

地味ですがカッコいいケラ自由研究の課題にいかがでしょう?