イネの根本に蛍光ピンクの物体が!

この時期田んぼや水路の水面より少し高い位置に、蛍光ピンクの小さな葡萄のような粒粒の塊が沢山見られます。
場所によってはコンクリートの橋げたにびっしり、なんていう場所も。
風景にそぐわない毒々しい色合いで目立つので、目につくとあちこちで発見できます。

ピンクの塊の正体は外来種スクミリンゴガイの卵。

このピンクの塊の正体は卵です。
産みつけていったのは世界の侵略的外来種ワースト100に名を連ねる要注意外来生物『スクミリンゴガイ』。通称『ジャンボタニシ』です。
タニシと名前がついていますが、暫定的に同目とされてはいるものの新生腹足類内でもあまり近い種類ではないと考えられています。

スクミリンゴガイは南アメリカ原産の巻貝です。

スクミリンゴガイの故郷は南アメリカのラプラタ川流域。
雑食性で、鰓、肺両方で呼吸可能なため乾燥にも耐性があり世界中で定着、繁殖しています。
もともと暖かい地域の貝ですので耐寒性はそれほど高くなく、-3℃程の環境におくとほとんどの個体が3日以内に死亡するというデータもあります。
主に西日本で猛威を振るっていますが、近年の暖冬の影響か生息地域は徐々に北上しているともいわれています。

スクミリンゴガイはどのくらい大きくなるの。

スクミリンゴガイは、別名がジャンボ タニシと、名前に『ジャンボ』なんて大きさの主張をしていますが、成長するとどのくらい大きくなるのでしょうか?

タニシ
殻高は1cm~8cm程度で、5cm以下の種が多い。
スクミリンゴガイ
殻高は5cm~8cm 程度。
スクミリンゴガイはずんぐりした形状の為、8cmとなると相当大きいです。

スクミリンゴガイには天敵が少なく繁殖力も強い。

スクミリンゴガイの蛍光ピンク色をした卵内部には神経毒のPcPV2が入っており、食べると苦味があります。
この毒と色彩によって卵は守られており、卵の時期に天敵となるのは昨年話題となったヒアリのみと言われています。

スクミリンゴガイはどうして日本に侵入したの?

スクミリンゴガイが日本に持ち込まれたのは1981年。食用とする目的で、台湾から和歌山県長崎県に持ち込まれました。
その後養殖場が一気に増えましたが、淡水の貝を食べる習慣があまりない日本では食用として定着せず、養殖場から廃棄されたものや逃げ出したものが繁殖したと言われています。

スクミリンゴガイに天敵はいないの??

卵の時期の天敵は,、原産地においてもヒアリのみと言われています。
成体では、コイ、スッポン、カルガモなどがスクミリンゴガイを捕食します。
スッポンの大量放流によって駆除を試みている地域もありますが、今度は放流したスッポンを捕食するヒトが問題となっています。

若いイネを食べる為水田に深刻な食害が…

スクミリンゴガイは水田で若い稲を食べるため、その食害が深刻な問題となっています。

成長して硬くなった稲はあまり食べないので、うまく利用することで除草に使う方法もあるのですが、現実的には管理が難しくあまり普及していません。
その方法ですが、まず深い溝を作らず田をならし、田植え直後一度水を抜く。その後、水深を1日1mmずつ上げると、スクミリンゴガイは雑草の芽を食べる。10日後に水深を5cmとする。その間に稲の株元が固くなるのでスクミリンゴガイは稲よりも新たに生えてくる雑草を好んで食べるため除草剤を使わなくてもよい。
兼業の農家さんだとちょっと難しそうですね。

駆除の方法もいろいろと考えられてはいるものの、水田の中だけでなく、水路などでも繁殖して、水田に移動するために駆除には地域ぐるみでの協力体制が必要で、なかなか難しいのが現状です。

松阪こた堂接骨院のある松阪市でも、田植え直後の稲がスクミリンゴガイの食害により全滅するなど大きな被害が出ています。

天敵も少なく、温暖で水路や水田が多い日本はスクミリンゴガイにとって快適な環境だっただろうと推測できますね。