90年代に一世を風靡したポケットベルが消滅

名刺入れ程の四角い本体に、細長い液晶画面が配置され、小さなスイッチが数個のみ。
今の子供たちに見せても『電卓?』といわれてしまいそうな、その装置はかつて一世を風靡したポケットベルです。
殆どの女子高生、中学生、大学生から社会人にいたるまで、誰もが持っていたアイテムです。

端末の製造は20年程前にすでに、終了してしまっていますが、サービスは東京テレメッセージ一社のみが、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県で提供を継続していました。
12月3日、東京テレメッセージはこのサービスの提供を、2019年9月末で終了する事を発表しました。

90年代コギャル三種の神器ポケットベル

ポケットベル『ポケベル』『ベル』などと呼ばれ、全盛期の90年代には、『三種の神器』などとも呼ばれた、コギャルと呼ばれた当時の女子高生達のマストアイテムでもありました。

ポケットベルは1958年、米国でサービスが開始されました。

日本では1968年に日本電信電話公社がサービスを開始しました。

電話の様に双方向での通信手段ではなく、呼び出す側が電話を掛けることにより、ポケベルの電子音が鳴るという、一方通行の無線呼び出し機でした。
やがて、1987年には、呼び出す側が、数字のメッセージを送信できる、数桁の画面が搭載されたモノが発売されました。

メッセージ交換ツールとして大ブレイク

当時は、発信した側が折り返し連絡の欲しい、自分の電話番号を送信するための画面でしたが、数字の語呂合わせによりメッセージを送る手段として、急速に普及していきました。

数字の語呂合わせには『0840』『0833』『724106』『8110』『0906』など、様々なパターンが有りました。
ちなみに上は、『オハヨー』『オヤスミ』『ナニシトル』『バイト』『オクレル』となります。

やがて、表示できる文字数が増えて、カタカナ表示に対応した機種が販売されます。
カタカナは50音を二桁のコードにした表で、例えば『あ』だとア行→1、の一番上で『11』、『き』だとカ行2の二番目で『22』といった具合に使われていました。
ポケベル本体のボタンを押すと自動で変換される機種や、発信側が特定の文字列を冒頭に打ち込む事でカタカナが表示できる機種などが有りました。
カタカナが表示できる機種では、メッセージの送信側が失敗すると、謎のカタカナメッセージが送られてきたりしたものです。
ボタンを押して数字をカタカナに変換するタイプだと、数字の状態のまま自力で解読すれば済んだのですが、カタカナで表示されるタイプですと、一度カタカナを数字に置き換えてから、もう一度解読する必要がありました。

ポケベルの衰退と共に公衆電話も姿を消していきました

学校などの公衆電話の数が少ない場所では、休憩時間にポケベルを打つ為の行列ができていました。
町中には今と違い、いたるところに公衆電話が有りましたが、深夜に公衆電話で、ひたすらダイヤルを打つ人を見ることができました。

一度に送信できるメッセージはカタカナで14文字程度と少なかったので、俳句を考えるように、文字数を数えながら、送信するメッセージの内容を考えたものです。

ポケベルは携帯電話よりも、建物内などでも受信はしやすいのですが、返信をする為には公衆電話を探す必要があるのが難点で、初めての場所に行く時には、公衆電話の位置を確認するのが、習慣となっていました。

やがて送受信ができるPHSにその座を奪われ、ポケベルは急速に衰退していきました。
そのPHSも、2018年3月31日には新規契約の受付を終了し、2020年7月末には法人向けのサービス以外はサービス終了となる予定となっています。

現在隆盛を極めるスマホもやがて過去のモノとなるのでしょうか

送信できる文字数が増え、種類が増え、色が増え、画像が送れるようになり、現在ではそのままTVで放送できるようなレベルの動画までが気軽に送信できてしまう時代になりました。
現在の最新技術も、今の子供たちが大人になるころには、懐かしいレトロな技術となってしまうのでしょうか?

スコシサミシクモカンジマスネ(14文字)