スッポンの飼育~冬眠方法についての一例

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飼育環境下においてのスッポンの冬眠について

気温がぐっと下がり、スッポンがエサを食べなくなりました。
そろそろ冬眠の準備に入る時期ですね。

40年程前の飼育図鑑には、カメや両生類など水棲の生物の冬眠は、水底の泥の中等に穴を掘り、丁度カブトムシの蛹室のような部屋の中で過ごすとされていました。

多くの飼育者により、何年もの試行錯誤が繰り返され、現在ではペットとして流通している生物では、大抵の種類の飼育方法が確立され、マイナーな生物であってもネットを使用することで、適切な飼育方法を入手することが可能となりました。

スッポンの冬眠環境

自然界においての生態が完全に把握されていない生き物については、野生でのその姿を想像し、飼育環境を野生での状態に近づける必要が有ります。

スッポンは20℃~30℃程の水温で活発に活動し、成長します。
水温15℃を下回ると、スッポンは餌をとらなくなり、水温が10℃を下回ると殆ど動きません。これが冬眠の状態です。身体の機能を低下させることによりエネルギーの消耗を抑え、水温が高くなるのを待ちます。仮死状態で動かないとしている資料もありますが、僕が観察した限りでは、活発に活動はしないものの、つつくなどちょっかいを出せば反応します。
水面から顔を出して呼吸は行いませんし、エサもとりません。
内蔵の活動も低下しますので、内臓内にエサが残っていると、半年程もの活動を休止している期間中に体内でエサが腐敗し、体内から腐敗して死んでしまいます。
そのため、内臓内の餌を冬眠前に排せつする必要がありますので、エサを食べなくなってからも暫く活動を続けて問題ありません。
初めての飼育ですと、『これからの冬眠の為にエネルギーを蓄えなければならないのに、エサを食べなくて良いのか?』と不安になってしまいますが、無理に加温するなどして食べさせなくても大丈夫です。
また、ある程度水中の溶存酸素を体内に取り込める機構が有るため、水面から鼻を出して呼吸する事は殆どありません。
※スッポンは喉の部分の毛細血管が高度に発達することで、鰓のように水中の酸素を取り込むことができるとされていますが、当家ではイシガメも同様の方法で冬眠させていますが、問題は発生していません。

夏生まれの0歳子亀を越冬させる。

スッポンは孵化後、すぐにエサを食べ始めますので、しっかりとエサを食べさせ、エネルギーを蓄えることができれば冬眠は十分可能です。自然界では冬眠せざるを得ないので、当然ですが…。

しかし、身体も小さく、蓄えられるエネルギーの少ない0歳児の子亀、特に秋近くなり生まれた、冬眠までの期間が短い子亀等は加温して越冬する方が安全です。

加温して越冬させることで、加温しない場合に比較して2~3シーズン分ほど余分に成長します。
また、個体差があるかもしれませんが、ある程度人間を見てエサをねだる状態になついた(?)状態であっても、冬眠させると、冬眠開けはしばらく人を見て隠れるようになってしまいますので、加温設備等用意できる環境にあるのであれば、個人的には加温して育てるほうがペットとしては楽しめる気がします。

当家で越冬の為に準備した道具は下記の通り。
・ダイソーで購入したフィギュアケース。
・パネルヒーター

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フィギュアケースは、上下逆の状態で水槽として、パネルヒータの上に置いて使用しました。蓋(本来は底)にエサやりの為に4センチ程の穴をあけました。※ある程度密閉した方が水槽内の空気も暖かく保てます。
市販されている水槽は、底面に足があり、パネルヒーターとの間に隙間ができてしまいます。フィギュアケースは平らなので、パネルヒーターとケースを密着させ、水温を安定させることが容易となります。
掃除が面倒なので、底砂等は入れずに管理しています。

よく日のあたる、暖かい部屋の窓辺に、上記の水槽を設置しました。
エサやり、水替え、などの管理は普段通り行いました。東海地方ですが、水替えは毎日水道の水をそのまま使用して行いました。水量も少ないので、余程冷たい水を使用しなければ問題無さそうに思います。
また、水道水のカルキ抜きもおこなっていません。
特に根拠はありませんが、カメは魚と違い水を大量に飲む訳ではありませんし、カルキで多少消毒された方が、皮膚炎などの予防になりそうという理由です。

加温装置はパネルヒーターのみで、夜間も部屋自体の暖房等は使用しなくても問題有りませんでした(最低室温は6~7℃程度)

2~3歳のスッポンの越冬させる。

大きく育った状態の生体を、加温して管理するのはコストも掛かり結構大変です。

冬眠は、さほど神経質にならなくても、夏の間にしっかりとエサを食べさせていれば殆ど問題はありません。
衣装ケースで、水深を深めにした状態で、水が凍らないように管理する。だけでも越冬できます。

冬眠状態の時に問題になるのは、カビなどの腐敗です。生命活動が極端に低下しますので、傷は治りにくく、カビ等が発生するとそのまま増殖し、頭部に広がると気管がふさがれ、致命的となります。

互いに傷つけあうのを避ける為、飼育は普段から1匹ずつ単独飼育で管理します。複数を一つの水槽で管理すると、接触した際に噛みつかれるなどして、足先などにしばしばケガをします。
水温が高い時期には、ケガをしても、割とすぐ治るのですが、水温が低いと傷が広がっていく時があります。
当家は東海地方ですが、358×238×240のプラケースに、1匹ずつ底砂は入れず、10cm程の水のみを入れて、屋外で管理しています。水深はケースの側面に水抜き穴をあけてしまったので、一年中同じです。
水の交換は2~3週に1度、水道水をそのまま使用し、全交換しています。

水面から顔を出して呼吸している様子はないので、必要性はあまり感じませんが、が張った場合は念のため、すぐに取り除いています。

まとめ~冬眠管理(一例)

暖かいうちに、エサを十分与える。
身体に傷をつけないように管理する。
カビの発生を抑える為に、水質が悪化しないように水替えは定期的に行う。
生体が凍らないように管理する。
底砂はなくても問題なし。

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