鈴の森公園あひるが池

鈴の森公園の池はいつから有るのか??

2018年10月23日にテレビ東京系で放映されている『池の水ぜんぶ抜く』の収録が行われた、松阪市鈴の森公園。
収録には、AKB48大家志津香さん加藤玲奈さん峯岸みなみさん、爬虫類ハンターの加藤英明先生等が参加されていました。当日の様子は11月18日のスペシャル番組にて放映です。

ところでこの池、一体いつからここに有るのでしょうか?

鈴の森公園の開園は2001年。25年程前廃業したカネボウ跡地に整備されました

鈴の森公園は2001年ころに整備された公園です。
それ以前、この場所にはカネボウ松阪工場が有りました。

大正12年に、鐘淵紡績南勢紡績が合併し、現在の鈴の森公園のあった場所に鐘淵紡績松阪工場が造られました。当時の建物の一部であるレンガ造りの倉庫が、今でも松阪文化財センターギャラリーとして残されています。

70年もの長きに渡り、松阪市の産業をリードした、とても大きな工場でしたので、今も年配の方々には『鈴の森公園』よりも『カネボウ跡公園』と呼ぶ方も少なくありません。

鈴の森公園の池は何時からそこに有ったのだろう?名前を発見?!

鈴の森公園の池がいつから有ったのか、調べてみました。
鈴の森公園のレイアウトは開園当時から大きく変更されておらず、ビオトープが流れ込む池も開園時から既にそこにありました

(11月29日追記)放映された番組内では、『造園時につくられた人工池』と紹介されていました。

当家に有った1989年、30年程前の地図には、カネボウ工場敷地内の同じ場所に池が有るのが判ります。

鈴の森公園の西端にある、松阪市立図書館で昔の地図を調べてきました。
古い松阪の地図を探してみると、1975年の地図に池がある事が確認できました。

また、松阪市の昭和20年代に撮影された航空写真でも、当時の近鉄伊勢線から鐘紡松阪工場内に引き込まれた線路の脇に、池らしきものが写っているのが確認できました。

鐘紡松阪工場の敷地内を撮影した写真の中にも、『あひるが池』と呼ばれるその池で、釣りをしている人達の写真を見つけることができ、昭和20年代には既に池が有ったことが判ります。

農業用水として、元々そこに有ったのか、調整池として鐘淵紡績敷地内に造られたのかは分かりませんでしたが、少なくとも鐘淵紡績松阪工場が出来た95年程前には、鈴の森公園の池は現在の場所に有ったのだと考えられます。

写真に残る、カネボウ敷地内にあった池が、現在鈴の森公園にある池と同一であれば、鈴の森公園にある池の名前は『あひるが池』なのでしょう。

鈴の森公園の池は周辺の環境に影響を及ぼすか?

鈴の森公園の池水源は、公園内に造られた小川から滝状に流れ込む水路のみで、見える範囲には他に水が流入する場所はありません。流出する経路も、かなり高い位置に増水時用の放水路があるのみです。自力で隣接する水路や阪内川から移動できるのは、昆虫や、両生類、爬虫類など陸上を移動できる生き物だけで、少なくとも、公園が整備された後、魚は自力では入り込めない環境です。あひるが池の中で、繁殖した魚が他に出ていくことも、増水時に流れ出す以外にはほぼ有りません。

外来種は悪なのか?

鈴の森公園で、以前僕が確認した、外来生物は『ウシガエル』『ライギョ』『ミシシッピアカミミガメ』でした。
何れも大食漢で、在来種の生息を脅かすと言われている生物です。
※ライギョは江戸時代の書物に描かれているとして、在来種とする意見もあります。

しかし、閉鎖された環境内においては、捕食者は一定以上に増えれば、食べるものが無くなり減っていきます。ライギョが生息しているとはいっても、何十年も池内の生態系バランスが保たれているのであれば、それは一つの生態系として十分に機能しているとも言えます。

また、上記の外来生物はサイズによってお互いに、『食べるモノ』でもあり『食べられるモノ』でもあります。
部分的に排除すれば、保たれていた生態系のバランスが崩れてしまうリスクも有ります。

池の水ぜんぶ抜いてどうするの??

元々、『池の水ぜんぶ抜く』のコンセプトは、放置されていた池に掻い掘りを行い綺麗にする。
そして、その池にどんな生物が住み着いているのかを調査するということなんだそうです。

掻い掘りは、日本の伝統的な池の管理方法で、農業用の溜池を維持するために古くから各地で行われていました。
池干し、換え掘り、換え乾し、泥流しなどとも呼ばれています。

田んぼに水を使わなくなる、農閑期の晩秋から早春にかけての期間に、池の水をくみ出して、池底に堆積した泥や土砂、ゴミなどを取り除き、魚などを捕り、池底を天日干しします。

鉄腕DASHでも紹介されていましたが、池底に堆積した泥は、栄養分を多く含むため、それらを肥料として有効利用することができますし、捕らえた魚は食用とするなど、昔は周辺の人達の生活と密接した行事でもありました。
また、池底を空気にさらすことにより、微生物が活発に活動し、水質浄化にも効果が期待できます。

現在では、魚を食用にする目的で行うことはあまり無いと思われますが、ごみの除去、水質改善、外来生物の駆除等を目的として、各地で掻い掘りが行われています。

掻い掘り鈴の森公園 鈴の森公園池掻い掘り

鈴の森公園の池は、完全に水が抜かれたわけではなく、その日のうちに水を戻し始めましたので、天日干しはされていませんが、大量の水草とゴミが取り除かれました。

鈴の森公園ビオトープ

収録翌日に池を見に行くと…

ちなみに、これは収録の翌日に撮影した画像です。
長い身体に、扁平な頭、複数の魚影が見えます…

鈴の森公園池

これはライギョの幼魚でしょうか?
例えば、特定外来生物のウシガエルを駆除して、ライギョだけが残れば、ウシガエルのオタマジャクシを食べていた分、ライギョは他の何かを食べなければなりません。

(11月29日追記)放送された内容によると、ウシガエルの捕獲は失敗したようです。もっとも周辺の水路や、田んぼでも、ウシガエルの生息を確認できますので、池の個体を全て捕獲したとしてもあまり意味は無い気もしますが…

今回の収録によって、何十年ぶりかに行われた人為的な生態系への介入で、今後、鈴の森公園の池がどう変化していくのか、引き続き追跡観察していこうと思います。

まとめ

鈴の公園の池の歴史はおそらく95年以上、昭和20年代の資料には存在が確認できる。
鈴の森公園の池の名前は『あひるが池』?
テレビ収録翌日、ライギョの幼魚の生息を確認。

松阪鈴の森公園調整池のビオトープ。20年でどんな生き物が定着した?

【松阪市】鈴の森公園の池の水ぜんぶ抜く?!