トレーニング

赤?白?筋肉には色がある?!

私たち人間の筋肉の色は何色だと思いますか?

実は、人間の筋肉には『赤色筋』と、『白色筋』というものが存在します。

人間の筋肉というのは、筋線維と呼ばれるものが集まってできています。
その筋線維の色が赤いものを赤色筋、白いものを白色筋と分類しているのです。

赤色筋白色筋の説明で、良く例として挙げられるのが魚。
お魚の切り身をみてみると、マグロやカツオ等のように身の色が赤いモノと、タイやヒラメ等のように身の色白いモノが有りますよね。
身の色が赤い肉→赤色筋
身の色が白い肉→白色筋
と、いう具合にイメージするように説明されます。

魚で解説!赤色筋と白色筋の違い

これから、魚で赤色筋と白色筋の違いを解説していきます。

赤身魚・もしくは赤身は、赤色筋、白身魚・もしくは白身は、白色筋と置き換えて読んでもらっても大丈夫です。

赤身魚と白身魚にはどんな違いが有るの?

それでは、赤身の魚と白身の魚には具体的にどんな違いがあるのでしょうか?

一般的に、長距離を回遊するような魚の身は赤く、あまり移動しない魚の身は白い色であることが多いです。
つまり、こんな感じですね。

  • 長時間に渡り動き続ける必要がある魚→赤身
  • 必要な時のみ一気に動く必要がある魚→白身

では、その身の色の違いにはどんな理由があるのでしょうか?

身の色の違いは、筋肉へのエネルギー供給の方法により決まってきます。
動物が活動する、つまり筋肉を動かす為にはエネルギーが必要となります。その筋肉を動かす為のエネルギー供給方式は2種類に大別されます。

  • 無酸素系
    筋肉の内部に蓄えた、糖やATPという物質をエネルギーとして使用します。
    効率は良いのですが、筋肉の内部に蓄えられるエネルギーは少ない為、長時間動き続けることはできません。
  • 有酸素系
    体内に蓄えた、乳酸や脂質を呼吸によって取り入れた酸素を使い、エネルギーとして使用します。
    長時間の運動に対応できる反面、あまり大きな出力を出すことはできません。

どうして赤くなるの??

ここで質問です。体の中にある赤いものといえば何でしょう?

多くの方が『血液』と答えるでしょう。

では、何故血液は赤いのでしょう?

血液が赤いのは、血液の成分である『赤血球』が赤い色をしているからです。
赤血球の中に含まれる『ヘモグロビン』というたんぱく質が赤い色の正体なのです。
このヘモグロビンは、体内に酸素を運ぶ為の大切な役割を担っています。

でも、白身の魚に血液がないわけではありませんよね?

実際スーパーなどで売られている魚の切り身は、赤身であれ白身であれ血抜きをされた状態です。
赤身の魚が血まみれで売られている、なんてことはないですから!

では、赤身の魚の赤色は何なのでしょうか?
赤身魚の赤色は、筋肉内に含まれる『ミオグロビン』というたんぱく質の色なんです。
ミオグロビンは、エネルギーを作り出すのに必要な酸素を蓄えておく貯蔵庫のような役目をしています。
つまり、酸素が沢山必要な活動をしている魚は赤身ということですね。

逆に、酸素が沢山必要な活動をしていない魚は、その筋肉内にミオグロビンを多く含まないため白身と言うことになるのです。

鮭は中間の特性を持つからピンク色?!

ちょっと脇道にそれますが・・・。

食卓によく登場する鮭はどうなのでしょう?

鮭の身は、赤色でも白色でもなくピンク色をしていますよね。

実際に人間の筋肉にも、赤色筋、白色筋以外に、中間の特性を持つ筋肉があることが知られています。

鮭の身の色もそれと同じで、
『鮭は海で回遊するのに持久力も必要、産卵期には川を遡上するのに瞬発力も必要、だから中間のピンク色をしている!』
なんて言われてたりしますが
その説は、正しくありません。

実は鮭は白身魚なのです。
鮭に近い種類のマス等を捌いてみると、確かに身の色は白いですよね。

鮭の身の色がピンク色になるのは、鮭が食べているカニやエビ等に含まれるアスタキサンチンという色素が、鮭の筋肉内に蓄えられている為なのだそうです。

美味しいものをいっぱい食べているからピンク色なんですね(笑)。

腰痛や膝痛の予防に必要なのは赤色筋?白色筋?

赤色筋と白色筋の違いについて、わかっていただけたと思うので、ここからは人間の話になります。

人間の赤色筋と白色筋はどちらが多い?

先程説明したように、人間の筋肉には赤色筋と白色筋があります。

では、人間の体はどちらが多いのでしょうか?

一般的に、人間の体内の赤色筋と白色筋の比率はほぼ同じであると言われています。
しかし、全ての筋肉が同じ赤色筋50:白色筋50という比率ではなく、下腿部と呼ばれる膝から足首までの部分では、表層の腓腹筋(ひふくきん)では白色筋、深層のヒラメ筋では赤色筋が多いなど、筋肉によって違ってきます。

筋繊維の比率は、年齢では変化せず、環境により筋繊維の太さが変化します。

短期間に一気に動く事が多い環境にいる場合、白色筋の筋線維が太くなり、長時間動き続ける事が多い環境にいる場合は、赤色筋の筋線維が太くなっていきます。
陸上競技の短距離走者は白色筋が多くなり、長距離走者は赤色筋が多くなるなどが良い例ですね。

腰痛や膝痛を予防するためには赤色筋を鍛えましょう

人間の身体の中で、姿勢を保つような役割を担っているのは、赤色筋が多い筋肉でしょうか?白色筋が多い筋肉でしょうか?

人間が姿勢を保ったり、活動時に無意識にバランスの調節をするような役割を担っている筋肉は、無意識下で長時間働き続けているわけです。
その運動の特性上、これらを制御しているのは主に赤色筋が多い筋肉であると予想できますね。
これらの筋肉が、疲労などでうまく働けない状態となることで、動作に無理が発生し痛みの原因になり易いと考えられます。

つまり腰痛や膝痛等の慢性痛を予防する為には、赤色筋が多い筋肉を鍛える、もしくは筋肉内の赤色筋の筋線維を太くするのが効果的ということです。

赤色筋を鍛える方法

赤色筋を鍛えるには、魚の例えでもありましたが、有酸素運動が効果的です。

有酸素運動は、主にマラソンやジョギング、ウォーキングなど持久力を必要とする運動です。

腸腰筋(ちょうようきん)、腹横筋(ふくおうきん)、腰方形筋(ようほうけいきん)など、骨盤周りやお腹周りにあり、腰と骨盤を支えるのに欠かせない筋肉の赤色筋を鍛えることで、腰痛予防になるのです。

ですので、上記の筋肉をすべて使うマラソンや、ジョギング、ウォーキングなどは、腰痛予防にぴったりの有酸素運動と言えます。
姿勢を正しく、少し歩幅を広めにして、20分以上続けるとより効果的です。

また、大殿筋(だいでんきん)、内転筋(ないてんきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリングなど、お尻から太もも、ふくらはぎにかけてある筋肉の赤色筋を鍛えることで、膝痛予防になります。

膝が痛い場合、マラソンやジョギング、ウォーキングはちょっと辛いですよね。そんな時は、水中ウォーキングや自転車漕ぎがお勧めです。
こちらも、20分以上続けることを目標にしましょう。

水中ウォーキングを除けば、普段の生活で簡単に取り入れられる運動ですよね。

日々のちょっとした積み重ねが、腰痛・膝痛の予防に繋がりますよ。