外来種

ザリガニ釣りをしながら日本の自然環境について考える【外来種問題】

アメリカザリガニ

リアルな自然と触れ合える場所は何処にある?

子供の頃遊んだ場所は殆ど無くなってしまいました

もう何年も前から言われている笑い話ですが、『近頃の小学生に海の絵を描かせると、魚が切り身で泳いでいるらしいよ』というのが有るそうです。

身近に自然が減り生物が少なくなった。野外で遊ぶ事が少なくなった。水辺などの危険な場所をどんどん立ち入り禁止とした。ゲームなどより面白いモノが身近にある。理由は色々でしょうが、魚に限らず自らの目で実際に生きている姿を目にする機会が激減したのは事実だと思います。

若い子たちが実際に生き物を知らないか?というと、野生ではなかなか見かけないような珍しい動植物の名前を知っていてビックリさせられることも有ります。
詳しく聞くと、『ゲームで採取できるレアキャラクター』なんて言われて、ゲームでもレア扱いなんだね。なんて妙に感心させられたり…。

松阪こた堂接骨院のある松阪市には、まだあちこちに自然の生き物を観察できる環境が残っています。
しかし、私が子供の頃と比較すれば、水路はコンクリートで固められ、側溝にはフタがされ、田畑や雑木林の多くは住宅地となってしまいました。
小学生位の子供達の行動範囲で、安全に自然と触れ合える場所は殆ど無くなってしまっているのが現実です。

当家の3歳になる子供には、せめて出来る限り自然とも触れ合わせてあげたい、人工的に造られた自然でしかその機会が得られないならば、それはそれとして正しく伝えていければいいなと思うのです。

アメリカザリガニ

水辺の遊び相手ザリガニ

という訳で、子供達の水辺の遊び相手の定番、ザリガニに会いに行ってみることにしました。

ちなみに、日本国内には『ニホンザリガニ』という在来種のザリガニと、『アメリカザリガニ』『ウチダザリガニ』という外来種のザリガニの3種類が生息していると言われています。
在来種のニホンザリガニ『北海道西部』『青森県』『秋田県』『岩手県』にしか生息しておらず、ウチダザリガニも三重県では確認された報告はないので、松阪市で野生の状態を見られるザリガニは『アメリカザリガニ』のみです。

外来種アメリカザリガニ

外来種といえどその歴史は古いアメリカザリガニ

アメリカザリガニは、1927年に当時欧米に輸出する為に飼育されていたウシガエルの餌として神奈川県の鎌倉食用蛙養殖場に20匹が持ち込まれました。
現在この場所は、『岩瀬下関防災公園』となっています。以前は井戸の横に小さな池が有ったそうなのですが、埋められてしまったようで、残念ながらザリガニ釣りは出来ないようです。

ウシガエル
鎌倉食用蛙養殖場に飼育されていたウシガエルアメリカザリガニが、1938年7月に起こった大雨による洪水で養殖場より逃亡し、近くを流れる砂押川を経て日本中に広がったと言われています。
どちらも、雑食で貪欲、水質悪化に対する抵抗力があり日本固有種に比べ生存競争に有利なうえ、稲作を行うため水路や溜池が多い日本の環境は繁殖に適していたのでしょう。
アメリカザリガニはその後1960年頃には九州まで生息域を拡大していたとの事で、放流など人為的なモノも有ったのかもしれないですが物凄い繁殖能力ですね。

2019年現在、『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』ウシガエルは特定外来生物アメリカザリガニは生態系被害防止外来種に名前が挙げられています。

外来生物と食物連鎖と固有種の生息環境問題

アメリカザリガニはその生息域拡大により日本固有の在来種の生息を妨げる、『侵略的外来生物』とされています。
アメリカザリガニが増殖することで、エサとして固有種を食べてしまったり、エサや住処の奪い合いによって在来種を駆逐してしまうというのです。またアメリカザリガニは雑食なうえ、食事とは別に水草をその鋏で刈りこむ習性があり、在来の昆虫や魚だけでなく水草などにも影響があるとされています。
水田などでは、巣穴を掘ることで畔に穴が開き水が抜けるなどの被害もあるとされています。

外来種を駆除すれば在来種が戻ってくる?

日本の環境に適応し、身近にも多く見られる外来生物の特徴として、『雑食で貪欲』『環境悪化に耐性がある』などの特徴が有ります。
これは考え方によっては、『環境汚染により在来種が住めなくなった環境でも生息できる』とも解釈する事ができます。
つまり、『外来種が進出したために在来種が減少した』のではなく、『環境の悪化により在来種が減少した場所に外来種が進出した』可能性もあるという事です。
この場合には、仮に外来種を駆除してもその場所で在来種は生息できないのですから、何も住まない寂しい場所となってしまいますね。

アメリカザリガニ外来種

人為的な介入でバランスが崩れるのでは?

例えば、アメリカザリガニはもう何十年も前から、学研の図鑑でも飼い方や捕まえ方が紹介されているほど、身近な水辺の生物として定着しています。これは本来生息していない日本国内においても、水辺における生態系の一部となっているという事でもあります。外来種が固有種に与える害のみがクローズアップされがちですが、捕食する天敵が極端に少ない外来種と比較してアメリカザリガニは鳥などの餌となっています。(ミシシッピアカミミガメ、コイ等は成体となると捕食する天敵は殆ど皆無となります。)
生態系のバランスが取れている場所で、人為的にアメリカザリガニのみを捕獲駆除した場合、アメリカザリガニを餌として捕食している動物は食べるモノが無くなってしまいます。そうなると、代わりのモノ(希少な在来種など)を捕食せざるを得ないですし、食べるモノが不足すれば当然個体数の減少につながります。

『特定外来生物に指定』すれば何か解決するの?

アメリカザリガニ『特定外来生物』に指定するという案もあるそうです。
特定外来生物に指定されると、以下の項目が禁止となります。

  • 飼育・栽培
  • 運搬
  • 保管
  • 輸入
  • 野外に放つ・植える
  • 譲渡・引き渡し

野外に放ったり許可なく飼育すると懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金刑となります。

特定外来生物に指定することで、ペットなどとして飼育されている個体が野に放たれたり、取引を制限することで販売目的などでの人為的な個体数の増加を防止することができます。
しかし、これにより外来種が生息していない場所への生息域の移動拡大は防止することができますが、既に環境に適応して日本中で野生化しているアメリカザリガニの運搬や飼育を禁止してもあまり意味は無さそうに思います。
閉鎖水域で、完全に駆除する事に成功した場合には、その場所に再び侵入する事の予防位にはなるでしょうが…

特定外来生物に指定することで天敵が減る可能性が

大高緑地

例えば、子供が捕まえたザリガニは小学校や家庭等で飼育され、多くはそこで命が尽きてしまいます。
特定外来生物に指定される事で、生きたまま運搬できない飼育できない状態となったらどうでしょうか。
ザリガニ捕りをする子供は今よりもさらに減るでしょうし、捕獲してもその場所で再放流が行われる率が上がるでしょうね。
人間の子供も僅かながら自然界ではザリガニの天敵として作用しています。
特定外来生物としての指定は、アメリカザリガニの天敵を減らす結果となり、生息数の減少には繋がらない気がします。
政治的な『環境の心配をしてますよ』『何かやりましたよ』というポーズの為だけなら、指定する意味は無いと思われます。

外来種の進出は現在進行形の大問題

最近では、観賞用として人気のある外来種のザリガニ『ミステリークレイフィッシュ』について、2019年2月28日に環境省が特定外来生物に追加指定する案を打ち出しました。
ミステリークレイフイッシュは、単為生殖、つまり一匹でも逃げ出せば繁殖して数が増えていくという困った性質を持っています。

釣り餌ザリガニ

ペットとして飼われていた動物を無責任に放してしまう事が環境に多大な影響を与えてしまいます。
無責任な人間さえいなければ、もう少し脱走に対する対策をしていれば、大きな問題と成る程には増えなかった外来種もいるかもしれません。
一度環境に溶け込んでしまうと、単純に駆除すればいいダケの状態に収まらず、元の状態に戻す事は困難を極めます。
希少な在来種などは、取り返す事ができない状態となってしまうかもしれません。

子供の水辺の遊び相手。
どう、子供に教えるのが良いのか。
子供はどう感じて、未来の為にどうしていくのが正解なのでしょうか。
最低限、飼うのであれば『その命の最後まで責任を持って』と言う事だけは、しっかりと伝えていきたいですね。

【続報】鈴の森公園の池『池の水ぜんぶ抜く』撮影後【どうなった?】

鈴の森公園あひるが池

鈴の森公園の池はいつから有るのか??

2018年10月23日にテレビ東京系で放映されている『池の水ぜんぶ抜く』の収録が行われた、松阪市鈴の森公園。
収録には、AKB48大家志津香さん加藤玲奈さん峯岸みなみさん、爬虫類ハンターの加藤英明先生等が参加されていました。当日の様子は11月18日のスペシャル番組にて放映です。

ところでこの池、一体いつからここに有るのでしょうか?

鈴の森公園の開園は2001年。25年程前廃業したカネボウ跡地に整備されました

鈴の森公園は2001年ころに整備された公園です。
それ以前、この場所にはカネボウ松阪工場が有りました。

大正12年に、鐘淵紡績南勢紡績が合併し、現在の鈴の森公園のあった場所に鐘淵紡績松阪工場が造られました。当時の建物の一部であるレンガ造りの倉庫が、今でも松阪文化財センターギャラリーとして残されています。

70年もの長きに渡り、松阪市の産業をリードした、とても大きな工場でしたので、今も年配の方々には『鈴の森公園』よりも『カネボウ跡公園』と呼ぶ方も少なくありません。

鈴の森公園の池は何時からそこに有ったのだろう?名前を発見?!

鈴の森公園の池がいつから有ったのか、調べてみました。
鈴の森公園のレイアウトは開園当時から大きく変更されておらず、ビオトープが流れ込む池も開園時から既にそこにありました

(11月29日追記)放映された番組内では、『造園時につくられた人工池』と紹介されていました。

当家に有った1989年、30年程前の地図には、カネボウ工場敷地内の同じ場所に池が有るのが判ります。

鈴の森公園の西端にある、松阪市立図書館で昔の地図を調べてきました。
古い松阪の地図を探してみると、1975年の地図に池がある事が確認できました。

また、松阪市の昭和20年代に撮影された航空写真でも、当時の近鉄伊勢線から鐘紡松阪工場内に引き込まれた線路の脇に、池らしきものが写っているのが確認できました。

鐘紡松阪工場の敷地内を撮影した写真の中にも、『あひるが池』と呼ばれるその池で、釣りをしている人達の写真を見つけることができ、昭和20年代には既に池が有ったことが判ります。

農業用水として、元々そこに有ったのか、調整池として鐘淵紡績敷地内に造られたのかは分かりませんでしたが、少なくとも鐘淵紡績松阪工場が出来た95年程前には、鈴の森公園の池は現在の場所に有ったのだと考えられます。

写真に残る、カネボウ敷地内にあった池が、現在鈴の森公園にある池と同一であれば、鈴の森公園にある池の名前は『あひるが池』なのでしょう。

鈴の森公園の池は周辺の環境に影響を及ぼすか?

鈴の森公園の池水源は、公園内に造られた小川から滝状に流れ込む水路のみで、見える範囲には他に水が流入する場所はありません。流出する経路も、かなり高い位置に増水時用の放水路があるのみです。自力で隣接する水路や阪内川から移動できるのは、昆虫や、両生類、爬虫類など陸上を移動できる生き物だけで、少なくとも、公園が整備された後、魚は自力では入り込めない環境です。あひるが池の中で、繁殖した魚が他に出ていくことも、増水時に流れ出す以外にはほぼ有りません。

外来種は悪なのか?

鈴の森公園で、以前僕が確認した、外来生物は『ウシガエル』『ライギョ』『ミシシッピアカミミガメ』でした。
何れも大食漢で、在来種の生息を脅かすと言われている生物です。
※ライギョは江戸時代の書物に描かれているとして、在来種とする意見もあります。

しかし、閉鎖された環境内においては、捕食者は一定以上に増えれば、食べるものが無くなり減っていきます。ライギョが生息しているとはいっても、何十年も池内の生態系バランスが保たれているのであれば、それは一つの生態系として十分に機能しているとも言えます。

また、上記の外来生物はサイズによってお互いに、『食べるモノ』でもあり『食べられるモノ』でもあります。
部分的に排除すれば、保たれていた生態系のバランスが崩れてしまうリスクも有ります。

池の水ぜんぶ抜いてどうするの??

元々、『池の水ぜんぶ抜く』のコンセプトは、放置されていた池に掻い掘りを行い綺麗にする。
そして、その池にどんな生物が住み着いているのかを調査するということなんだそうです。

掻い掘りは、日本の伝統的な池の管理方法で、農業用の溜池を維持するために古くから各地で行われていました。
池干し、換え掘り、換え乾し、泥流しなどとも呼ばれています。

田んぼに水を使わなくなる、農閑期の晩秋から早春にかけての期間に、池の水をくみ出して、池底に堆積した泥や土砂、ゴミなどを取り除き、魚などを捕り、池底を天日干しします。

鉄腕DASHでも紹介されていましたが、池底に堆積した泥は、栄養分を多く含むため、それらを肥料として有効利用することができますし、捕らえた魚は食用とするなど、昔は周辺の人達の生活と密接した行事でもありました。
また、池底を空気にさらすことにより、微生物が活発に活動し、水質浄化にも効果が期待できます。

現在では、魚を食用にする目的で行うことはあまり無いと思われますが、ごみの除去、水質改善、外来生物の駆除等を目的として、各地で掻い掘りが行われています。

掻い掘り鈴の森公園 鈴の森公園池掻い掘り

鈴の森公園の池は、完全に水が抜かれたわけではなく、その日のうちに水を戻し始めましたので、天日干しはされていませんが、大量の水草とゴミが取り除かれました。

鈴の森公園ビオトープ

収録翌日に池を見に行くと…

ちなみに、これは収録の翌日に撮影した画像です。
長い身体に、扁平な頭、複数の魚影が見えます…

鈴の森公園池

これはライギョの幼魚でしょうか?
例えば、特定外来生物のウシガエルを駆除して、ライギョだけが残れば、ウシガエルのオタマジャクシを食べていた分、ライギョは他の何かを食べなければなりません。

(11月29日追記)放送された内容によると、ウシガエルの捕獲は失敗したようです。もっとも周辺の水路や、田んぼでも、ウシガエルの生息を確認できますので、池の個体を全て捕獲したとしてもあまり意味は無い気もしますが…

今回の収録によって、何十年ぶりかに行われた人為的な生態系への介入で、今後、鈴の森公園の池がどう変化していくのか、引き続き追跡観察していこうと思います。

まとめ

鈴の公園の池の歴史はおそらく95年以上、昭和20年代の資料には存在が確認できる。
鈴の森公園の池の名前は『あひるが池』?
テレビ収録翌日、ライギョの幼魚の生息を確認。

松阪鈴の森公園調整池のビオトープ。20年でどんな生き物が定着した?

【松阪市】鈴の森公園の池の水ぜんぶ抜く?!

花粉症の原因がセイタカアワダチソウと思っていたら誤解だった話~検索大事

セイタカアワダチソウ

あなたが知ってるその知識、本当ですか???

何となく生活している中で、誰かに教えられた知識が、間違えていると気づかずにいることって結構あるように思います。
あまり実用性のない豆知識様のものだと、間違えていたとしても、気づく機会すらあまりありませんよね。
インターネットの普及で色々な情報が気軽にてに入るようになりましたので、ちょっと検索をすれば、間違いに気付けるのですが、そもそも『そうだ』と思っている事をあえて調べるような機会はあまりないので、やはりそのままになってしまうことが多い気がします。

ブログを書いたり、小さな子供ができたことで、間違いを発信してしまわないように、近頃は知っていることでも、わざわざ検索して調べるようにしています。

セイタカアワダチソウさんゴメンナサイ、ここに訂正して謝罪します

永遠に続くような錯覚に陥った、2018年の酷暑もひと段落し、近所でも秋の訪れを感じられるようになってきました。
ヒガンバナはすっかり姿を見無くなり、今度は河原や空き地に黄色い群生が大量に発生しています。
セイタカアワダチソウという外来種の植物です。

子供の頃、実家の前に有った空き地が、セイタカアワダチソウの群生地になっていて、枝分かれの少ないこの植物の葉っぱを取って替わりにチャンバラごっこなんてよくしたものです。
セイタカアワダチソウは、他の植物の生長を阻害する因子を出して群生し、派手な黄色い花を大量に咲かせることから、花粉症の原因になると信じている方も少なくないと思います。

セイタカアワダチソウミツバチが蜜を集めるのにも利用する植物で、花粉は虫が媒介する植物です。花粉は比較的大きくて重く、風で飛んだりすることは殆どないのだそうです。
しかし、秋の花粉症が発生するシーズンに、いかにも花粉を飛ばしそうな黄色い花が群生する事からヌレギヌを着せられてしまったようです。

秋の花粉症の原因として主に言われているモノは、ブタクサヨモギセイタカアワダチソウと比べると全く似ていないのですが、『外来植物で河原や空き地などに分布し、開花時期は7~10月。黄色い小花が複数集まった形状の花が咲く。』と文字の説明を見ると、今ほど手軽に情報を見つける事が出来なかった昔なら、あちらこちらに群生しているセイタカアワダチソウと勘違いしてしまうのも分かる気がします。
実は僕も、以前アレルギーの検査を受けた耳鼻科で、窓から見えるセイタカアワダチソウを指して『あれがアレルゲンです』と説明を受けたことで何十年もセイタカアワダチソウの別名がブタクサなのだと思っていました。
たまたまアレルギーの原因となる雑草のリストを見ていて、ブタクサの説明に『葉がヨモギに似ている』という記述があったことで、気が付きました。
セイタカアワダチソウの葉は、どうみてもヨモギの葉とは似ていないのです。

勘違いしている人は結構多いらしい

調べてみると、結構混同されている人はいるようで見分け方のページが沢山ヒットしました。

田舎ですので、その他にもアレルギーの原因となる雑草が、画像を見るといずれもよく見かけるモノばかりです。これまで全く気にしていませんでしたが、ブタクサも見覚えがある姿をしていました。

スマホで何でも気軽に検索できる時代。
何となく検索してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。

今回のまとめ

秋の花粉症の原因となるのは、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ
空き地等で成大に黄色い花を咲かせているセイタカアワダチソウは花粉を飛ばさない。

スッポンとイシガメの観察。人工孵化環境と飼育について。

スッポン孵化

河原の土手に口をあける穴の正体は??

毎日犬の散歩で早朝と深夜に川沿いの土手を歩くようになり、土手に穴が開いているのを見かけるようになりました。穴の直径は7cm程で深さはまちまちですが深いもので10cm程度でしょうか。草のあまり生えて居ない土がむき出しの土手で6月ごろからよく見かけるようになりました。
モグラにしては、地表から少し掘ってやめていますし、何かの巣穴?しかし家主は見当たりません…

スッポン産卵

ある日偶然発見した球形の卵。

ある朝、土手の斜面に空いている穴の下に粉々になった破片に紛れ、草むらにいくつかの小さな球形の卵が引っかかっているのを発見しました。
卵は完全に球形で白色。直径は2cm程でしょうか。
土手に空いた穴は、どうやら何者かが産卵の為に開けた穴らしいことが判りました。
掘っている途中で木の根や大きな石があって掘るのをあきらめたか、産卵後に何者かが掘り返している??
なんにせよ、この卵を孵化させることができれば穴をあけた動物の正体が判ります。

ミッション:拾った卵を孵化させる。

恐らく、土手の地中に埋められるはずで有った(もしくは埋められていたのを何者かがほじくり返した)卵を本来あるべき環境にできるだけ近い状態に戻す必要が有ります。
なおかつ、できれば定期的に観察したい。

孵化装置の制作
まず、10cm角程の透明プラスチック容器(味噌がはいっていた容器)に4cmほど川砂をひき、水で湿らせました。
卵の乾燥を防ぎ、なおかつ呼吸を妨げないように、傾けても水がこぼれない程度、容器を下から見た際に気泡が残る程度の水量としました。
砂を少し窪ませ、卵を1/4程砂に埋め、その上から水で濡らしてから、固く絞ったミズゴケをかぶせました。
蓋をして、取敢えず孵化装置は完成。

孵化装置の設置場所
本来地中に埋められるハズであった卵ですので、できるダケ温度変化が無いように…
発泡スチロール製の箱の中に土を入れ、孵化装置を半分程埋めた状態とし、蓋をして倉庫の片隅に設置しました。

乾いたら霧吹きで水を追加…と思ったのですが、結果として上記の装置で水の追加は必要有りませんでした。

観察を始めておよそ70日。ついに…

ちょこちょこと様子を見ていたのですが、卵の外見に特段の変化がないまま、2カ月以上が経過しました。
ある日、孵化装置を開けると、それまでなかった生臭い匂いが。
観察開始から73日目、ついに卵の正体が判明しました。

スッポン孵化

 

拾った卵から孵化したのはスッポン

拾った卵から孵化したのはスッポンでした。
警戒心が強く動きも素早い、子供の頃は一度も捕獲できなかったスッポンと以外な所で再開を果たした僕は、産卵場所の観察を始めました。

2007年~産卵場所の定点観測を行いました。

そろそろ梅雨入りするかという6月の第一週頃、暖かい雨が降った日の夜にスッポンの産卵がスタートします。
周囲がひっそりと寝静まった深夜、昼間は日当たりのよい河原の土手の斜面に後ろ足で器用に穴を掘り、産卵が終わると再び後ろ足で土をかけます。

スッポン産卵

スッポンはかなりいい加減に土や苔を使って穴を埋めるので、毎日土手を歩いているうちに簡単に産卵場所を見つけられるようになりました。

スッポン産卵

穴を掘り易い場所は決まっているらしく、以前産卵した場所を掘ってしまうこともあるようです。
また付近に生息しているイシガメや外来種のミシシッピアカミミガメには卵食性が有るらしく、外来種に産卵場所を荒らされている可能性も否定できません。

イシガメと産卵場所は競合していた

イシガメ産卵

観察を続けるなかで、同じ場所においてイシガメの産卵も確認することができました。
イシガメはスッポンと違い、かなり丁寧に産卵穴を埋め戻すので、産卵を確認した後でも卵を見つけるのは困難でした。
イシガメの卵はスッポンの球形とはことなり、ナツメの実のような楕円形の形状をしています。

ミシシッピアカミミガメは自ら地面を濡らし穴を掘るが

こちらは別の場所で確認したミシシッピアカミミガメの産卵の様子ですが、アカミミガメはかなりの量の水を自身で運んできて、土を濡らしながら穴を掘るようです。
掘っている土がかなり濡れているのが判ります。
スッポンとイシガメの産卵では、自力で土を濡らすことができるのかは未確認です。

ミシシッピアカミミガメ産卵

スッポン孵化時の様子

スッポン孵化

スッポンの卵は産卵時より大きさが変わらず、スッポンは柔らかい甲羅が卵の中に丸く詰め込まれたような状態で生まれます。連鎖するように殆どの卵が同日に孵化しました。

スッポン孵化

口の先には卵嘴と呼ばれる卵の殻を破るための突起があるのが判ります。

スッポン卵嘴

孵化直後、甲羅の後ろ側が丸まっている。

スッポン孵化直後

比較:左は孵化後1週間程度経過した個体。

スッポン孵化直後と1週間比較

イシガメ孵化時の様子

イシガメ孵化

イシガメの卵は産卵時は楕円形ですが、日がたつにつれて丸く膨らんで行きます。
よく見ると卵の殻に細かいヒビがはいっており、産卵時よりもかなり大きくなっています。

イシガメ孵化

スッポンは孵化後、勢いよく動きだしましたが、イシガメは生まれてもしばらくじっとしていました。

イシガメ孵化直後

孵化直後のカメにはヘソが有る!?

哺乳類には胎盤から栄養を吸収するために、ヘソがある。
そう理科の時間に習ったハズなのですが…

卵であっても、黄身から栄養を吸収するためのヘソ(と呼ぶのかは判りませんが)が有ることが確認できます。

イシガメヘソ

これがあったから、孵化後もしばらく動かなかったのか…。
このヘソ状の組織は数日で消えてしまいました。
痕跡も暫くすると判らなくなりました。

また、孵化直後のスッポンにも良く見るとちいさなヘソのようなモノを確認することができました。

孵化のタイミング

他のサイトで、『孵化直前の卵に水をかけると孵化が始まる』というような記述を発見し、孵化の近い卵で試してみたところ、水をかけて数時間で孵化が始まりました。
考えてみれば当然ですね。野生においては土中に数カ月埋められた状態で生まれるのですから卵の上の地面はかなり固まっていると予想できます。
雨で土が柔らかくなった状態でないと土が固く地上に出てくるのが困難ですから、雨が降り卵が濡れる程度まで周囲の土が湿った状態で孵化することで、生存できる率を上げているのではないかと考えられます。

エネルギーの在庫がすっかりなくなってから生まれて、雨が降らず固い土が掘れない状況よりは、ヘソが有るような多少早いタイミングで生まれる方がその後生き残る為にも具合が良さそうです。

自力でエサを食べ始めるタイミング

孵化後、その日のうちにエサを食べ始めます。すぐに食べなくても平気ですが。
スッポンは活動する水温が比較的高めなので、6月の産卵でも孵化時には8月半ばから9月となりますから貪欲に食べないと冬眠に間に合わないからでしょうか。
スッポンの噛む力は孵化直後からかなり強く、トカゲの気分でちょっと指を噛ませてみたら流血こそしませんでしたが、かなり痛いです。

当家はカメの餌は、テトラレプトミンを使用しています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

テトラ レプトミン(220g)【Tetra(テトラ)】
価格:1007円(税込、送料別) (2018/10/9時点)

 

楽天で購入

 

 

孵化後すぐに泳ぎ砂の下へ

孵化したスッポンたちはそのまま川に入り、殆どが水流に逆らって上流方向へ泳ぎはじめました。
そしてすぐに石の影や砂の中に姿を消してしまいました。
警戒心の強いスッポンは、殆ど人目に付くこと無く成長していきます。

飼育環境下での成長

スッポン飼育

画像上の個体は孵化間もないころ、下の個体は丁度1年飼育(冬眠有り)したものになります。
1年で倍程のサイズまで成長します。
活性が高くエサを食べる時期が6月~9月末頃までの4カ月程しかない為か、加温して冬眠をさせずに飼育すると、感覚的に3年分くらい成長します。

スッポン及びイシガメの産卵から孵化までの日数

恐らく周辺の環境に左右される為、実際に確認できた日数を記します

スッポン
2007年
産卵から 73日(8/19孵化)
産卵から 62日(8/27孵化)

2008年
産卵から 77日(8/15孵化)
産卵から 64日(8/11孵化)

2015年
産卵から75日(8/10孵化)

イシガメ
2007年
産卵から 67日(8/20孵化)

2008年
産卵から 75日(8/15孵化)

国産?外来種?個体数は?

スッポンは在来のモノと養殖場から逃げ出した個体が野生化したものが生息していると言われています。
しかし、徐々に住処や産卵場所がへり、全体としては減少傾向にあり、国際自然保護連合 IUCN のレッドリストにおいては絶滅の危険性が高いとされています。
一方で警戒心が強く、貪欲で何でも食べる性質から、思わぬところで生息している個体も存在します。
TOKIOの鉄腕ダッシュでは新宿の神社にある池で巨大なスッポンが見つかりました。
水田ではスクミリンゴガイや、オタマジャクシなどエサも豊富にあることから、松阪こた堂接骨院のある松阪市においては、まだかなりの数が生息しているのだろうと考えられます。
人間の便利を優先すると、減っていく動物が増えていく。だからといって不便な生活は困ります。
効率的に共存できる環境整備ができていくといいですね。
スッポン

 

 

 

彼岸花急に咲いたけど葉はどこに有るの??どうやって増える??

無限に続くかと思われた暑さもひと段落して彼岸入りです。

春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間を彼岸と呼びます。
暑さもひと段落して彼岸の頃になると、今まで何もなかった河原の土手や、田んぼの畔に突然赤い花が群生します。終わらないのではないかと思う程の異常な暑さを記録した今年も、秋の訪れを感じさせる彼岸花が咲きました。

彼岸花の学名はLycoris radiata、ヒガンバナ科ヒガンバナ属、多年生の球根性植物です。
花は主軸が極めて短い散形花序で6枚の花弁が輪生状に外向きに並びます。花弁は長さ40mm、幅約5mmで細長く反り返った形状をしています。

彼岸花の葉はどこにある?

彼岸花をよく見ると、緑色の花茎と先端のだけが群生しています。
周りを見ても葉のようなモノは見当たりません

彼岸花のは、花が枯れた晩秋に深緑でつやのある長さ30~50cm程の線形の細い葉をロゼット状に展開します。葉は冬の間展開し、翌春には枯れてしまいます。
彼岸花の葉はノビルやアサツキなど食用の野草と似ている為に誤食してしまうケースもしばしばあるそうです。

彼岸花は有毒だが食用にも??

彼岸花は植物体全体にアルカロイドが含まれる全草有毒の植物です。
特に鱗茎リコリンというアルカロイドの一種を多く含みます。リコリンを摂取すると、嘔吐、下痢、呼吸困難を引き起こします。
しかし鱗茎はデンプンを多く含み、リコリンは水溶性で、長時間水に曝すことにより無害化が可能なので、戦時や非常時においては食用に利用されていたこともあるそうです。

人間がリコリンを接種した場合の致死量はおよそ10g、鱗茎に含まれるリコリンは15mg程度ですので相当大量に食べなければ大丈夫そうですが…
この毒性を利用して、動物や、虫等の防除の目的で、墓地田んぼの畔等に植えられたのではないかと考えられています。

彼岸花はどうやって増える?

彼岸花には種ができません
ヒガンバナは三倍体(2n = 33)ですので種で増えることができません。
鱗茎が分裂していく事で数を増やします。
変種のコヒガンバナは二倍体(2n = 22)で種ができるので、他の種との交配により多様な園芸品種が造られています。
元々彼岸花は日本の固有種ではなく、中国大陸から入ってきたと考えられています。
日本にある彼岸花は全て遺伝的に同一の個体であると言われています、3倍体(クローン)であることから、遺伝的な分布から増えた経緯を推察することができません。
一つの個体が日本中に広がったのか?たまたま同じ産地から、同一の個体が日本中に入ってきたのか…

様々な別名がある彼岸花、あなたの近所での呼び方は??

曼珠沙華とも呼ばれる彼岸花ですが、その他にも様々な別名が有ります。

雷花
石蒜
龍爪花
剃刀花
捨子花
狐花
毒花
痺花
死人花
地獄花
幽霊花

お墓等に植えられているイメージからか、ちょっと怖い感じのする名前が多い気がしますが、地域によっても呼び名が異なるともいわれており、方言の研究材料になっていたりもするそうです。

外国人に人気の彼岸花

日本では注目される事の少ない彼岸花ですが、外国の方々には人気なんだそうです。
日本最大の彼岸花群生地と言われている『巾着田曼珠沙華公園』では動画の再生回数がすごい事になっているんだそうですよ。
一面に咲き乱れる彼岸花は壮観です。

各地にある彼岸花の名所。開花の時期にあわせてイベント等が行われている場所も有るそうです。
埼玉県日高市の巾着田
埼玉県横瀬町の寺坂棚田
神奈川県伊勢原市の日向薬師付近
愛知県半田市の矢勝川堤防
岐阜県海津市の津屋川土手
広島県三次市吉舎町辻の馬洗川沿い
長崎県大村市の鉢巻山展望台

秋の訪れを感じに出かけましょう

松阪こた堂のある松阪市でも阪内川の土手に沢山の彼岸花が咲いています。
赤い彼岸花の群落に混じって所々に白い彼岸花が群生しています。
黄色の彼岸花も有るそうですよ。
いつの間にか満開になって、いつの間にか終わっている彼岸花、探しに行ってみませんか?
新たな発見が有るかもしれません。

食用に輸入された外来種ウシガエルは食べられる?ペットとして飼える??

静かな田舎も夜は都会よりも騒がしい。カエルの合唱が聞こえます。

田んぼの中を通る夜のお散歩コースでは、歩いているとあちらこちらから何かの気配を感じます。
小さなカエルから、タヌキ?や、夕涼み中の猫まで…田舎ですから。

最近は雨が続いたからでしょうか、カエル?暗闇で見えませんが、急に現れた不審な犬と人に驚いて田んぼに飛び込む音、音、音…。

ちょっと多いです。普段水が殆どない近くの川が増水しているので、避難中でしょうか。しかも水音が大きい
なんて思っていたら、遭遇しました。


ウシガエルです。

特定外来生物ウシガエル。とにかく大きい。

子供の頃、オタマジャクシを捕まえたことがあるのですが、オタマジャクシの段階で相当大きいです。
大人になると、苦手な人だとUターンして迂回したいサイズでしょうね。
体長は11~18cm。体重は500-600gにもなるそうです。

別名は食用ガエル。食べられるの?

1918年動物学者渡瀬庄三郎さんが食用として、アメリカのルイジアナ州ニューオリンズから持ち込み、日本にやってきました。
1950~1970年にかけては盛んに養殖が行われ年間数百トンのウシガエル輸出用として生産されていました。このエサとして輸入されたのが、こちらもあちこちで見られるアメリカザリガニです。
東京都江戸川区の浄土宗法龍寺には『食用蛙供養塔』があります。

ウシガエルってどんな味がするのだろう?

ウシガエルの味は鶏のササミに似ていて。肉は脂がほとんど無いため、炒め物やフライなどに料理される事が多いです。
中国では普通に食べ物屋に並んでいます。皮をはいだものを見ましたが、水かきや頭が無ければ見た目も鶏肉と大差ありません。
日本では2005年12月に特定外来生物に指定され、飼養・保管・運搬・放出・輸入が規制されている為市場に出回ることは無く、自力で捕獲調理しない限り食べてみることは難しそうです。(捕獲は禁止されていません)

ウシガエルは普段どこに住んでいるの?

流れの緩やかな河川、池沼、湖、湿地などに生息しています。
よく見ると、水面から目鼻だけを出して周囲を伺っているのを見つけられることがあります。
夜間はエサを求めて活発に活動します。
名前の由来は低音で牛のように『ブォー、ブォー』と鳴くことから、その鳴き声は1kmも届くと言われています。

どんなものを食べている?

貪欲で口に入るモノなら何でも食べます。
虫、蛇、小鳥、ネズミ、カエル、etc. 釣りをしていると、ルアーに掛かることも有ります。
そういえば最近、鉄腕ダッシュ長瀬智也さんが釣っていましたね。

飼ってみたい?

大きいオタマジャクシを捕まえると、子供はきっと飼ってみたくなります。
特定外来生物は飼養が禁止されていますが、学術研究、動物園などの展示、教育、生業の維持、その他公益上の必要がある目的の為ならば、申請して許可を取れば飼うことが可能です。

環境省のHPに申請の手続き方法がありましたが、そもそもペットとしての飼育は認められませんのでやはり一般家庭での飼育は無理そうです。

メダカ飼育が静かなブーム。1匹15000円の値段がつく魚も?!

メダカ

メダカって意外と高級魚なの?

1匹15000円のメダカを48匹盗んだ男が12日に逮捕されたそうです。

1匹15000円?!150円じゃなくて??

近頃メダカがブームなのだそうです。
白、黒、オレンジ、斑にキラキラ。様々な品種のモノが売られています。
サムネイル画像だけ見ていたら、錦鯉かと思うようなモノまで有ります。

オロチラメ。ブラックダイヤ。最近の新品種だそうです。

この事件で盗まれたメダカは『ブラックダイヤ』という品種だそうです。
『オロチ』という黒の品種と『青ラメ幹之』という品種を交配して作られた新しい品種で、黒の体に青いラメ模様の美しいメダカです。
画像を見ると確かにキレイ…。

スペースも装備も、初心者からがっつり上級者まで楽しめる。

コイや金魚などと違い大きな水槽が必用でなく、水温管理水質管理ともそれほどシビアで無い。交配や繁殖が容易でオリジナルの交配種を作ることも可能。などというのがメダカ人気の理由でしょうか。

強い品種なら、庭に水を張った桶をおいておけば勝手に増えているそうです。

メダカって用水路でよく取りましたよね。

メダカはミナミメダカ Oryzias latipesと、キタノメダカ Oryzias sakaizumiiの総称でミナミメダカの学名 Oryzias latipesは『水田にいるヒレをひらひらさせる魚』というような意味だそうです。

水田の魚で、昔は用水路なんかの水流が弱い所でよく見かけましたよね。
用水路が整備されて、産卵する場所が奪われてしまったり、水質の悪化で減ってしまったのか、最近めっきり野生では見かけません。
単純に目が悪くなって見えないだけかもしれませんが(汗)

外来種との生活圏争奪戦も。

ところで、ここにも外来種が進出してきているのを知っていましたか?
カダヤシ』『アメリカメダカ』とも呼ばれています。

知らなければ似ているので気付かずに、いつの間にか在来種と置き換わっていた。なんてこともあるそうですが。ダツ目のメダカに対してカダヤシはカダヤシ目で完全に別種の魚です。

原産の分布域はメキシコ湾に注ぐ河川…これはもしや。

ミシシッピからやってきたそうです。ミシシッピの動物強いですね。

メダカとカダヤシの違い。

違いは上から見るとよく判りませんが、捕まえてサイドから観察すると見分けが付きます。
カダヤシは尾びれがグッピーのように丸くなっているのに対しメダカは真っすぐです。
カダヤシの尻びれは小さくオスは交尾器になっています。メダカは幅広く大きいです。
メダカの産卵数は1度に10個程度で卵の状態だと水質の悪化に弱いのですが、カダヤシは卵胎生で産卵せずに一度に100~300尾の稚魚を産みます。

カダヤシは低温に弱いため、必ずしも国産のメダカを駆逐する存在ではないとの意見も有りますが、繁殖力はメダカより格段に強いので、生息できる場所を取り合えばやはりメダカの方が不利なのではないかと思われます。

大人になるとなかなか水路なんて見る事は無くなってしまいますが、たまにはメダカでも探してみてはいかがでしょうか?
なつかしい子供の頃の遊び相手、見つけることはできるでしょうか?

【検証】スッポンはスクミリンゴガイを捕食するのか?

スクミリンゴガイの駆除に使われている?本当に食べるの??

以前、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の記事でコイ、スッポン、カルガモ等が捕食すると書いたのですが、スッポンは本当にスクミリンゴガイを捕食するのでしょうか?

外来種でも『駆除の為』と持ち込まれたものが実際には捕食しやすいモノを捕食してうまくいかなかった話をよく聞きます。

スクミリンゴガイは5~8cmとかなり大きくなるがスッポンはどの程度のサイズまで捕食するのか?
実際にスッポンの水槽にスクミリンゴガイを入れて観察してみることにしました。

http://comoestas.net/pomacea-canaliculata/ ‎

まずはスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を捕獲。

犬の散歩がてらスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を捕獲してきました、水路の手が届く場所にいくらでもいます。
3~4cm位の個体が多いようです。水田も見てきましたが、小さい個体は結構いるようですが大きい個体は発見できませんでした。
水路の大きな個体は捕食者の鳥等に発見されやすいですし、田んぼでは大きな個体は耕運機の歯で潰されてしまうからでしょうか。
動きはスッポンと比較すると極端に遅く、泥の表面を這っていて潜ることもしませんので、スッポンにとっても見つけるのは容易な獲物であろうと想像できます。
何匹か捕獲して、水槽に入れてみましたが産卵以外ではあまり水から上がることは無さそうで水槽の側面の水面より下だけで活動しています。

観察装置のセッティング。

アクションカメラVemicoを防水ケースに入れてスッポンの水槽にセットしました。
スッポンは4歳、甲長は15cm程度の個体に協力をお願いしました。

サイズの違うスクミリンゴガイを5匹水槽に投入して後でカメラを回収するという方法をとりました。

結果、スッポンは憶病で水槽に突如現れたカメラにパニック状態。食事どころではなくなってしまいました。
1時間程様子をみてみましたが、落ち着かないのでカメラだけを回収しました。

半日ほど放置し、様子を見に行くとスクミリンゴガイはすべて殻を割られ、中身がなくなっていました。
観察に使用したスクミリンゴガイは1.5cm~3cm程度のものでしたが、スクミリンゴガイの殻程度であればスッポンは問題なく破壊して捕食可能なようです。

スッポンもコイもスクミリンゴガイの捕食者として有効です。

またスクミリンゴガイの殻もこの辺りによく生息しているカワニナに比べると比較的薄く壊れやすいこともあり、すっぽんにとっては問題く容易に捕食できる獲物であることが判りました。

ちなみにその他スクミリンゴガイの捕食者として紹介したコイですが、こちらは喉の奥に咽頭歯という丈夫な歯があり、貝を割って食べるそうです。
咽頭歯の破壊力はコインを曲げられる程だそうですので、こちらもスクミリンゴガイ程度であればバリバリ食べてしまいます。

水辺に見かける蛍光ピンクの桑の実状の塊。正体は外来生物のスクミリンゴガイ

イネの根本に蛍光ピンクの物体が!

この時期田んぼや水路の水面より少し高い位置に、蛍光ピンクの小さな葡萄のような粒粒の塊が沢山見られます。
場所によってはコンクリートの橋げたにびっしり、なんていう場所も。
風景にそぐわない毒々しい色合いで目立つので、目につくとあちこちで発見できます。

ピンクの塊の正体は外来種スクミリンゴガイの卵。

このピンクの塊の正体は卵です。
産みつけていったのは世界の侵略的外来種ワースト100に名を連ねる要注意外来生物『スクミリンゴガイ』。通称『ジャンボタニシ』です。
タニシと名前がついていますが、暫定的に同目とされてはいるものの新生腹足類内でもあまり近い種類ではないと考えられています。

スクミリンゴガイは南アメリカ原産の巻貝です。

スクミリンゴガイの故郷は南アメリカのラプラタ川流域。
雑食性で、鰓、肺両方で呼吸可能なため乾燥にも耐性があり世界中で定着、繁殖しています。
もともと暖かい地域の貝ですので耐寒性はそれほど高くなく、-3℃程の環境におくとほとんどの個体が3日以内に死亡するというデータもあります。
主に西日本で猛威を振るっていますが、近年の暖冬の影響か生息地域は徐々に北上しているともいわれています。

スクミリンゴガイはどのくらい大きくなるの。

スクミリンゴガイは、別名がジャンボ タニシと、名前に『ジャンボ』なんて大きさの主張をしていますが、成長するとどのくらい大きくなるのでしょうか?

タニシ
殻高は1cm~8cm程度で、5cm以下の種が多い。
スクミリンゴガイ
殻高は5cm~8cm 程度。
スクミリンゴガイはずんぐりした形状の為、8cmとなると相当大きいです。

スクミリンゴガイには天敵が少なく繁殖力も強い。

スクミリンゴガイの蛍光ピンク色をした卵内部には神経毒のPcPV2が入っており、食べると苦味があります。
この毒と色彩によって卵は守られており、卵の時期に天敵となるのは昨年話題となったヒアリのみと言われています。

スクミリンゴガイはどうして日本に侵入したの?

スクミリンゴガイが日本に持ち込まれたのは1981年。食用とする目的で、台湾から和歌山県長崎県に持ち込まれました。
その後養殖場が一気に増えましたが、淡水の貝を食べる習慣があまりない日本では食用として定着せず、養殖場から廃棄されたものや逃げ出したものが繁殖したと言われています。

スクミリンゴガイに天敵はいないの??

卵の時期の天敵は,、原産地においてもヒアリのみと言われています。
成体では、コイ、スッポン、カルガモなどがスクミリンゴガイを捕食します。
スッポンの大量放流によって駆除を試みている地域もありますが、今度は放流したスッポンを捕食するヒトが問題となっています。

若いイネを食べる為水田に深刻な食害が…

スクミリンゴガイは水田で若い稲を食べるため、その食害が深刻な問題となっています。

成長して硬くなった稲はあまり食べないので、うまく利用することで除草に使う方法もあるのですが、現実的には管理が難しくあまり普及していません。
その方法ですが、まず深い溝を作らず田をならし、田植え直後一度水を抜く。その後、水深を1日1mmずつ上げると、スクミリンゴガイは雑草の芽を食べる。10日後に水深を5cmとする。その間に稲の株元が固くなるのでスクミリンゴガイは稲よりも新たに生えてくる雑草を好んで食べるため除草剤を使わなくてもよい。
兼業の農家さんだとちょっと難しそうですね。

駆除の方法もいろいろと考えられてはいるものの、水田の中だけでなく、水路などでも繁殖して、水田に移動するために駆除には地域ぐるみでの協力体制が必要で、なかなか難しいのが現状です。

松阪こた堂接骨院のある松阪市でも、田植え直後の稲がスクミリンゴガイの食害により全滅するなど大きな被害が出ています。

天敵も少なく、温暖で水路や水田が多い日本はスクミリンゴガイにとって快適な環境だっただろうと推測できますね。

松阪鈴の森公園調整池のビオトープ。20年でどんな生き物が定着した?

スッポン孵化

鈴の森公園は松阪の大きな憩いの場所の一つです。

松坂城址から阪内川を渡った対岸に『鈴の森公園』という大きな公園が有ります。
年配の方には、かつてカネボウの綿糸工場が有った場所と言えば分かり易いなじみのある場所だと思います。
1993年、カネボウが工場閉鎖した後、その跡地を利用し造られました。

公園の西側には2018年4月にリニューアルオープンした松阪市立図書館があり、大正時代に造られたカネボウの綿糸倉庫跡は現在も松阪市文化財センターとして残されています。

松阪市文化財センターとは?

カネボウ綿糸松阪工場の閉鎖に伴い、当初は取り壊し予定だった、大正12年建築の綿糸倉庫でしたが
平成8年10月に修復工事を行い、文化財センターギャラリー棟となりました。
この倉庫部分はレンガ造りの建物で、平成14年に国の登録有形文化財に登録されています。
平成15年3月には『はにわ館』が開館しました。国指定史跡の宝塚1号墳から、平成12年に発見された船形埴輪、囲形埴輪など、貴重な埴輪類が展示されています。
宝塚古墳から出土した埴輪276点は国の重要文化財に指定されています。

今回の目的地は調整池。

公園の東端、図書館や文化財センターとちょうど反対の角に調整池が有ります。
当初は虫や水草程度しか見られなかったこの池にも公園開園より20年近い歳月を経て色々な生き物が住みついています。

今回はお昼休みに鈴ヶ森公園調整池をウォッチングしてきました。
昨日通りかかった時に、気になる生き物がいたのです。

スッポン?にしては警戒心の薄いかなり大きなカメ。

スッポン

??観賞魚??

タイワンドジョウ

スマホのカメラでは、特定できないので『OLYMPUS OM-D E-10マーク2』下げてウォッチングに出動です。

続きを読む

駐車場を侵略中のスギナやシロツメグサの除草に大苦戦

駐車場に物凄い勢いで雑草が生えてきました。
エノコログサ、ブタクサ、ヨモギ、トクサ、スギナ、シロツメグサ等

除草剤を使用して様子を見ていたが

除草剤を撒いて少し枯れてきたか?と思ったのですが、完全に枯れきる前に新たな雑草が生え始めました。
中でも猛威を振るっている雑草は
スギナとナシロツメグサ。ほかの雑草は慎重に引き抜くと根まで抜けるのですが、
スギナとシロツメグサは、抜こうとしてもちぎれてしまいます。少し掘り返してみると大きな地下茎がくっついていました。地上に出ている部分に対してイモか?という程のボリューム。どうも工事の際に重機で掘り返して、地下茎が寸断されたのがいけなかったか。
除草剤も完全に枯れる前に、どんどん別の部分から生えてきてしまう様子。
シロツメグサは除草剤を撒くと地上部分はすぐ枯れたのですが、すぐに枯れることで、かえって地下茎までは薬剤がいきわたらなかったのでしょうか?

シロツメグサを観察してみた。

シロツメグサは日本中どこでも見る事が可能ですが、もともとはオランダから牧草として持ち込まれたものが野生化したと言われています。

マメ科 シャジクソウ属の植物でアイルランドの国花にもなっています。
クローバーとも呼ばれています。
葉は幅の広い3葉よりなり、葉の中ほどに白い模様がはいります。
葉よりやや長い花茎に白い梵天状の花が咲きます。
花冠を作ったり、花を飛ばしたり、四葉を探したりと、遊んだことがありますよね。

あまり注意してみたことが無かったのですが、よく見ると地上に出ている部分はツル状に地表を伸びていて所々から根がでることで、地面に固定されています。
茎が網目状に地表を覆い、そこから葉が立ち上がっている感じですね。
掘ってみると、立派な根がでてきました。茎のあちこちから根が張っているので慎重に抜かないとすぐにちぎれてしまいます。芝生を植えてある場所に生えるとなかなか除去が難しいと書いてあるサイトがありましたが、芝生と絡み合うとシロツメクサだけを完全に抜き去るのは確かに困難そうです。
花が終わると小さな鞘に入った種ができます。

スギナを観察してみる。

シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属の植物で根が深く張ることから地獄草とも呼ばれる多年生の植物です。
地獄草!!なんとも恐ろし気な別名が付いています。
春に見られる胞子茎はツクシと呼ばれています。
こちらはお馴染みですね。ツクシしか見ていませんでしたので同じ植物だと気が付きませんでした。
地表に見えている部分を引っ張っても葉っぱだけがとれて、地下茎が残るのですぐに復活してきますし、地下茎がちぎれると、ちぎれた分どんどん数が増えていきます。

一般にグリホサート系除草剤がお勧めされています。

いずれも地上の葉から吸収され、根まで枯らすことができるグリホサート系除草剤がよいそうですが、なかなかにしぶとそうです。

侵略的外来種ワースト100 あちこちで放流されているコイですが実は環境被害が

鯉

屋根より高い、鯉のぼり。英語でいうとcarp-shaped streamer

あちこちで鯉のぼりが上がっていますが。

『コイ』が国際自然保護連盟の示す侵略的外来種ワースト100の中に挙げられているのをご存知でしょうか?

外来種は身近にたくさんいます。その数は日本国内になんと2000種を超えると言われています。たとえば、子供の頃捕まえたどこにでもいるアメリカザリガニなどが外国産の動物です。

コイ:Cyprinus carpio、コイ目・コイ科

フナに似ていますが、体に対して頭や目が小さく、口元には2対4本のひげがあります。
BOD値の高い比較的流れが緩やかな川や池、沼、用水路などを好んで住処としており、低酸素環境に高い耐性をもつので水質の悪い水域にも住むことができます。大きく育ち目立つので、見栄えが良いため、よく放流されています。

川や、お城のお堀などにも、ものすごく大きく育ったコイがいますよね。
体長は60cm~1m以上になる個体もいます。
寿命はとても長く25~70年。岐阜県東白川村で飼われていた「花子」と呼ばれる緋鯉はなんと226年もいきたそうです。

コイ

魚の年齢ってどうやって調べるの?

飼育下にある個体ならわかるのですが、野生の個体の寿命はどうやって調べるのでしょうか。
鱗や耳石、背骨、ひれすじを等を調べて、年齢を推測します。
例えば鱗ですと、成長と共に年輪ができるのでそれを数えます。ただしこの年輪は、生活環境の変化によってできるモノなので、季節の変化がある環境下でしか使えません。

何を食べているの?

観光地で、コイの餌として『麩』がおいてあったりしますが、自然界ではどんなモノを食べているのでしょうか?

なんでも食べます。

口は開くと下を向いて、水底の餌を吸い込んで食べるのに適した形状になっています。
さらに、のどに咽頭歯という器官があって、硬い貝でも殻を砕いて食べることができます。

どうやって増えるの。

4~6月頃に産卵を行います。ちょうど今位ですね。
浅瀬に集まり水草に付着性の卵を産みます。その数は一度に50万~60万個。数日で孵化し、成長と共に深場に移動していきます。

水質が悪くても平気。何でも食べ、さらに大きく天敵が少ない。

こうなると、どこでも生活できますし、もともと居る在来種の生態を脅かすのに十分です。
日本や中国ではコイを食べる文化がありますが、北アメリカでは、泥臭い匂いが敬遠され食用とされない為に、かなりの勢いで増加しているそうです。

春になると、あちこちで泳ぎ回る鯉のぼり。
日本のみならず海外でも、コイは水陸問わず、その生活圏を増やし続けているのです。