徳利は注ぎ口を使うと失礼?!謎のマナーに思う

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洗練された機能は美しい

機能美という言葉があります。
無駄なモノを排除し、必要な機能、構造のみを追求した結果、自然に現れる美しさです。
工具など、専門の道具には『その事のみにしか使えない』といった限定と引き換えに、突き詰められた美しさが有ります。

日常的に使用するようなモノにあっても、機能を追求したものや、デザインに特化したモノ(使い勝手はあまり…)まで、必ずしも無駄を省いた物だけが、使用されている訳ではないですよね。

道具と言うものは、それが使い手に判るモノから見えないような部分まで、作り手によって様々な工夫がなされています。
見えない部分の工夫と言うものは、コピーされた商品に顕著に表れることが有ります。
見えない部分の工夫に気付けず形状ダケを模倣したコピー商品は、見た目は同じようでも使い勝手がとても悪くなります。

日常的に使う道具では、その使い道のみの使用感が重要で、作り手側の工夫は、敢えて説明されない事が多く、あえて説明がなされない為に、気づかずにせっかくの機能を使えていないなんてことも有ります。

マナー講師撲滅用とっくり?

ネットで、こんな商品が売られていました。
『マナー講師撲滅用とっくり』
福岡県にある「椿窯」の陶芸作家・枯山水さんの作品『椿徳利』
徳利の注ぎ口が椿の実のように広がった形状になっています。

世の中には、機能に『気付かずに』、間違った使い方をする。のではなく。
『わざと』機能を無視した、間違った使い方をする人がいるらしい。

テレビで紹介された『徳利マナー』。
放送後からは、ネット上で随分と話題になりました。
『徳利を使用する時には、注ぎ口を上に向けて注ぐのが正しいマナー』だというものです。
多くの人が、『なんじゃそりゃ?!』と思ったこのマナー。中にはTV局のでっち上げだと思った人もいたようです。
徳利の注ぎ口を上に向けて注ぐ理由については、様々な理由付けがありました。
・注ぎ口を上に向けると、仏教の宝寿の形に見えて縁起が良い。
・注ぎ口を使うと縁を切るということになり失礼
・戦国武将を暗殺するために徳利の注ぎ口に毒を塗ることが有った為
・注ぎ口を下に向けることは、角が立つということになり失礼

『マナー講師』なる、マナーを指導する事を生業とする人達は、皆がマナーを熟知していては、お仕事になりませんし、TVともなれば『へーそうなんだぁ』というような、重箱の隅をつつくような物を用意しなければならないのも判らなくはありません。
みんなが『へ?』と思ったような、マイナーなマナーに、こんな何種類も理由付けが有ること自体、なんだか眉唾な感じがします。

理由が全く理由に感じられないのですが

徳利の注ぎ口は、徳利に付加された『機能』だと思うのです。
・注ぎ口を上に向けると、仏教の宝寿の形に見えて縁起が良い。
だったら、注ぎ口に仏様のフィギュアでも付けておけばいい。
・注ぎ口は縁が切れているので使うと縁を切るということになり失礼
そもそも注ぎ口が無ければいいの?
・戦国武将を暗殺するために徳利の注ぎ口に毒を塗ることが有った為
毒を盛る側のつもりで考えてみたら?逆に難しくないですか?そもそもその時代は御銚子では??
・注ぎ口を下に向けることは、角が立つということになり失礼
上に向けた方が『立』っているような?その理屈なら逆では無くて横にした方が…

作り手の工夫を馬鹿にしているのか

マナーは『周囲を不快にさせないように』有るものだと思うのですが。
このマナーは、あまりにも『作り手』を馬鹿にしていると思うのです。

作り手は、もう少し怒ってもいいと思うのですが。

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